香港のお正月 元旦から1月15日まで

文化・伝統

日本では三が日が「お正月」ですが、香港では旧正月の元旦から15日までを「過年」と呼び、15日をすぎると日常生活に戻ります。日本の「松の内」のようなものですね。

香港のお正月で面白いのは、「この日にはこれをする」という決まりごとがあることです。どんな決まりごとがあるのか見てみましょう。

過年 日にちの呼び方

過年の期間は、日にちの呼び方も普通とは違っています。元旦は「初一(チョウヤッ)」で、その後7日まで「初〜」という風に呼びます。日にちの前に「大年(ダイニン)/年(ニン)」を付けることもあります。

元旦 「大年初一」

ちょっと危険な初詣

大晦日の夜中に多くの人が「黃大仙祠」というお寺(道教と仏教、儒教が習合した宗教なので、香港では「廟」と呼ばれています)に足を運び、夜中の0時の開門と共に線香を供えます。

黄大仙 占いでも有名な廟です。

初詣というより、「一年で一番最初に線香を供えた人は運が良くなる」というゲン担ぎの一つなのですが、目をランランとさせてお寺に駆け込む様子、火がついた線香を我先に香炉に立てようとする人たちを見ると「ちょっと怖い」と感じる人もいるかもしれません。

赤色が吉!

赤と金がめでたい色なので、赤色の服を着る人が多いです。正月が近くなると赤色の下着も売り出され、全身赤で固めたコーディネートで新年を過ごす人もいます。

色だけでなく、服の柄も「丸いのが吉!」と言う人がいます。これはコインが丸いことから来ているようで、お金がとても大切な香港人らしいゲン担ぎですよね。

あけましておめでとうは「恭喜発財!」

人に会ったら、“恭喜発財!”(コンヘイファッチョイ)、それに続いて“身体健康”(サンタイギンホン)と言います。その後、続けておめでたい言葉を長々と言う人もいますが、この二つが普通です。

年始まわり「拝年(バイニン)」を始めます。

元旦は両親や親戚など、近しい人々を訪ね、年始の挨拶をして、お年玉を渡したり、もらったりします。團年飯のところでご説明したような縁起がいいスナックを食べながら、ゆっくり過ごします。

掃き掃除はしちゃダメ

運やお金の神様「財神」を掃き出してしまうので、掃き掃除をしてはいけません。これと同じ理由で髪を洗ったり、洗濯をしたりしてもいけないと言われていましたが、今はこれを守らない人も多いそうです。

肉や魚を食べない家庭も多い

仏教を深く信じる家庭では、初一と正月十五は「食齋(セッKチャーイ)」。肉や魚は食べないで、精進料理を食べます。

花車巡遊匯演

香港の元旦の夜のお楽しみは「花車巡遊匯演」です。様々な山車やパフォーマンスが九龍半島の尖沙咀を中心に練り歩くお正月きってのイベントです。日本から参加する団体も毎年ありますよ。

 

「初二」は「迎婿日」

「初二」はお嫁さんが自分の夫をつれて、実家に年始まわりに行く日で、「迎婿日(お婿さんを迎える日)」と呼ばれています。御年賀やお年玉を沢山用意し、実家の人々に配ります。

お嫁さんが実家にいられるのは昼間だけというルールがあるんだそうで、「昼ごはんは実家の家族と食べてもいいが、晩ご飯には家に帰らなければならない」という人もいるとか。

香港ではこの日に花火が打ち上げられるので、花火がよく見える場所は、場所取りをする人でごった返します。

「初三」 年始まわりはお休み

年始まわりはお休み

この日は暦の「赤口」にあたり、口が災いした対立や喧嘩が起こりやすいと言われているので、年始まわりはしません。

車公廟で運をもらう

そのかわりに新界の沙田にある「車公廟」という寺院をお参りするという人が多いです。この廟に祀られる「車公」の誕生日が「初二」ということもあって、年始まわりができないこの日に参拝する習慣ができたようです。

これが車公。武将だったんだそうです。

この「車公」の横に神銅製の風車が置いてあって、「この風車を回すと、運が回ってくる」といういわれがあって、人々は「車公」にお線香を供え、お祈りしてから、風車を回します。

風車を時計方向に回してお祈りした後、風車の隣に置いてある太鼓を三回叩いて「車公様、誠心誠意お祈りに参りました。お守りください」と唱えます。

縁起物の風車を買って帰る人も多く、この日は風車を嬉しそうに持って歩く子供の姿が目立ちます。

競馬で運試し?

この「車公廟」の近くに競馬場があり、毎年この日に年明け初めてのレースが開催されます。そのため、「車公」にいただいた運を試すためか、車公廟に行ってから、競馬場へ向かう老若男女も多いです。

「初四」から「初六」まで

この期間も以下のような中国の伝統習慣が残っていますが、香港では三が日を過ぎると、ある意味で普通の生活に戻るので、あまり目にすることはありません。

  • 初四「祭財神」 財神というお金を神様をお祀りする日
  • 初五「趕五窮」 元旦からこの日までは禁忌とされていたことを解禁し、「窮する、行きづまるなどの五つの「窮」を追い払う日。
  • 初六「做生意,放鞭炮」 新年の商いを始める日、マカオでは爆竹(鞭炮)を盛大に鳴らします。ちなみに香港では爆竹は法律で禁止されています。

「初七」「人日」「吃及第粥,將來中狀元」

すべての人の誕生日

神様が「元旦には鶏、二日目には犬」というように、この世の生き物を毎日ひとつづつ誕生させ、7日目には人類を誕生させたという中国の古代伝承に基づく習慣だそうです。

「人日節快楽!(「人の」お誕生日おめでとう)」という挨拶をする人もいます。

この日にはお粥を食べる

日本でもこの日に「七草粥」を食べますが、香港では豚肉や内臓が入った「及第粥」を好んで食べる人が多いです。

Photo by 挪威 企鵝, CC BY-SA 2.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/2.0>, via Wikimedia Commons

「及第」というのは「合格する」という意味で、科挙の試験にトップの成績で合格した人が(状元)このお粥を食べていたことに由来する名前なんだそうです。

「新年にこのお粥を食べて、将来はトップで合格しよう!」というゲン担ぎなんでしょうね。

「正月十五」「元宵節」香港のバレンタインデー

旧正月を締めくくるのが「元宵節」。またの名を英語で「ランタンフェステバル」と言う通り、香港中いたるところにランタンが飾られ、幻想的な雰囲気に包まれます。

また各地区で「綵燈會」というパフォーマンスやクイズ大会などを中心としたイベントが開催されます。

Photo by SiuOoyuen, CC BY-SA 3.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0>, via Wikimedia Commons

日本にも同じ言葉がありますが、この日がまさに「十五夜」、新しい年になって初めての満月です。

この日は「情人節(バレンタインデー)」とも呼ばれています。見合い結婚が当然だった昔、結婚前に相手に会うということなどなかったのですが、ランタンを見ることを言い訳に、街に出ることができるこの日に自分の結婚相手を「下見!」することができる唯一の機会だったためだとか、、、。

バレンタインデーとは言っても、日本のように女性から男性に告白するような日ではなく、「男性が自分の恋人に花を送って愛を確かめる」というような日で、街はラブラブカップルでいっぱいになります。

この日のもう一つの習慣が、「湯圓」という餡入りの白玉団子を食べることです。湯圓のまん丸な形が「団団圓圓(家庭円満)」を表すからだと言われています。

Photo by Matt @ PEK from Taipei, Taiwan, CC BY-SA 2.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/2.0>, via Wikimedia Commons

街中がランタンで綺麗だし、

恋人がいる人はデート、

いない人は家族と白玉団子で、

誰でも楽しめるのが元宵節ね。

 

 

 

 

 

 

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